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クンニ(9,200)を見つける

麻雀における満貫未満の得点は基本点から算出される。積棒を加えれば7700+1500→9200,8000+1200→9200等々になるが、本稿では得点計算について理解を与えながら親の得点(0本場)が9200となるような符数とハン数の対応を調べる。調査自体は計算式さえ解かれば中学生でもできる内容なので、得点計算について概説的な記述を試みるのと筆者がTeX記法に触れるのが本題でもある。

◆本題
Ⅰ)Mを符数、nをハン数として基本点Aは下記のように定義される。

 A≝M\times 2^{2+n}

基本点(に基づく支払い)は「和了」が発生した際に和了者以外の各人に対して課されるものである。
この性質はのちに「一家包の法則」を理解するために重要になる。

Ⅱ)「么二(ヤオアル)」は次のように定義される。

子が和了者の場合、荘家の支払い(基本点)は子の2倍とする。
親が和了者の場合、散家の各支払いは2倍される。

Ⅲ)「一家包(イーチャパオ)の法則」はつぎような効力がある。

和了がロン和だった(放銃者がいる)場合、和了者以外の3人の支払い責任を放銃者ひとりが負う。

Ⅳ)以上を踏まえると、子のロン和(子が和了者)の場合、放銃者(親或いは子)は自分を含めた3人分の支払いを負い、親がロン和(親が和了者)の場合は放銃者(子)の支払いは基本点の2倍(∵么二)のさらに3人分(∵一家包)になる。

子のロン和: 2\times \left( M\times 2^{2+n}\right)+M\times 2^{2+n}+M\times 2^{2+n}(親+子+子)

親のロン和: 3\times 2\times \left( M\times 2^{2+n}\right)

Ⅴ)これまでを整理すれば得点計算について次のように書ける。

和了」が発生した際に符数とハン数に基づく基本点(親の基本点は子の2倍∵么二)が発生し、ロン和の場合には「一家包」が適用される。
2023年4月15日 追記:「和了が発生した際に『一家包』適用の有無(ツモかロンか)に基づいて符数(およびハン数)、つまりは『基本点』が決定される」って表現のほうが正しい気がする。

また、得点計算では基本点の10単位を切り上げる。たとえば子の70符2飜ツモ和了の場合、子の支払いは基本点1,120→1,200点であり、親の支払いは1,120×2(∵么二)→2,300点となる。ロン和の場合は各家の基本点が合算されたのちに切り上げられるので1,120+1,120+1,120×2=4,480→4,500点となる。

Ⅵ)以上までの理解から、親のロン和の得点が9,200となるためには10を最小単位*1として下記の不等式を満たすようなMnを見つければよいことがわかる。

9110\leq 3\times 2\times A \leq 9200

9110,9120,9130...9200のうち3の倍数且2の倍数のものは
(1)9120=6*1520,(2)9150=6*1525,(3)9180=6*1530

なので以下のような特殊解を見つけることができる。

  1.   M\times 2^{2+n}=1520=5*5*61
    (M,n)=(25,\log_{2}61-2)
    25(50)符、3.93(2.93)飜*2
  2.   M\times 2^{2+n}=1525=2^4*5*19
    (M,n)=(40,\log_{2}38-2)
    40(80)符、3.25(2.25)飜
    (M,n)=(95,2)
    95符、2飜
  3.   M\times 2^{2+n}=1530=2*3*5*51
    (M,n)=(30,\log_{2}51-2)
    30(60)符、3.67(2.67)飜

◆備考1
9110\leq 3\times 2\times A \leq 9200
Aは次の範囲に含まれる10の倍数である
1520\leq A \leq 1530
1520\leq M\times 2^{2+n} \leq 1530
M=40のとき
38\leq 2^{2+n} \leq 38.25
9.5\leq 2^n \leq 9.5625
を満たすようなnのとき得点は40符9,200点になる*3

◆備考2
9,200∀について。七対子の場合、2^n=46で子の支払いがちょうど9,200(基本点が4,600)になる。

*1:Aは2の累乗数とMを含むため必ず10の倍数になる

*2:25\times 2^{2+3.93}=1524.220...であり1524=2^2*3*127

*3:70,110符も同様。さきの調査では素因数7と11を含むものがなかった