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パノプティコンはJ・ベンサムによって唱えられた集中型の監獄形式であるが、それは展望塔(監獄内の中央に展望塔がある)というかたちによって具現された規律的な概念として一般的に使われる。ミシェル・フーコーパノプティコンを近代社会的システムの比喩として自著に引用した。 

功利主義は社会全体の幸福、その極大化というのが理念にある。パノプティコンの構造はその功利主義に基づき犯罪者や貧困者層の幸福度、福祉というものが最大限に考慮された。監獄内の囚人を恒常的な監視下におくことで彼らを更生できる。つまり、その一望監視施設は腐敗した彼らに利するとベンサムは考えた。

フーコーによればベンサムがもたらした近代的な権力(監視者の視線)の完成は「実際の行使」を不要にする。少し抽象度を下げれば「監視者の視線」が対象者に内面化されていると言ってよい。実際的な監視者(視線)はその展望塔には要らない。パノプティコンは実際的なもの(実在)を抜きにして「実質的な権力関係」を創造する(成立させる)。そして、その建築的装置があるかぎり権力関係は永続する。