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201222

魔王城でおやすみ、10話*⁰から最終話(12話)まで観た。ほんとうに素晴らしかったとしか言いようがないのだが、ここで何を書けばいいのだろう。幼少期のスヤリース姫のビジュアルや、本人にとっては黒歴史なエピソード、カイミーン女王(スヤリス姫の母)とか、魔族たちもみんな可愛かった。もっと色々あるが皆まで言うのはやめておこう。

魔族たちによれば、人間界の繁栄によって魔族たちが下界に追いやられ身を潜めるような生活を強いられた、といういわゆる”負の歴史”が設定されている。人間たちはそれに無自覚であり魔族を滅ぼそうという意識を常に共有しており、他方、魔族たちはその争い?に終止符を打つべく人間たちとの決着を望む。ただし、これは記しておこう。全話を通してシリアスな空気感は全く流れていない。少しシリアスかな…?と思っても姫によるギャグが直後に置かれるので見ていて愉しい。

人間と魔族の和解と共生、それが理想なのか。もしそうだとしても、魔王城と言う名の姫にとってのパラダイスが無くなってしまうのは避けたい。たとえ、人間と魔族が共生しようとも、人間界のお城での公務や勇者さまから解放され、愉快でかわいい魔族たちとの生活は永続的なものであって欲しい。それは我々の願いでもある。魔族たちは私(姫)を愛してくれているし、わたしを愛してくれる存在こそが私が姫でいられる理由であると、姫自身もそれを自覚していた。

簡易な寝具に絶望し上等な寝具を自作するべく姫が魔王城でやりたい放題するのが物語の基本構成だった。でびあくまを懐柔して牢屋を抜け出し、城内でさまざまないたずらをする姫であるが、その衣食住をはく奪され独房に投げ込まれないのは、彼女の愛くるしいキャラクターゆえである。魔族たちは彼女のハチャメチャな行動に翻弄されながらも、彼女を世話の焼ける我が子として愛してやまない。言うまでもなく、そこに在るのは人間-魔族の関係ではなく、スヤリス姫-魔族の関係だと思うが、原作(連載中)ではそのテーマを扱っているのだろうか。別に日常ドタバタコメディで終止してもいい。

それでも、最終話で全面的にギャグでありながらも姫や女王がそのテーマを回収した、それが素晴らしかった。テーマを自覚しつつ愉しい日常に還る姫、彼女が良質な睡眠を求めるかぎり、その愉快な日常はつづく。

*⁰ 公式には第〇夜
第10夜参照